BMW「3シリーズ」でエンジンから水を送る管。くねくねと曲がったプラスチック製だ
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ヤマハ発動機、「YZF-R1」のラジエータ。手前にのたくっているのが"弾丸成形"で造った管
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とんでもないことを考える人がいるものだ。プラスチックを成形する時、固まりきる直前、製品の中に弾丸(たま)を撃ち込む。弾丸が飛んだ跡は穴として残る。これでクルマの配管、例えばエンジンからラジエータに水を送る管を造ってしまう。曲がりくねった管も大丈夫。弾丸は曲がったなりに飛んでいくのだという。
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この技術はドイツのクルマから普及を始めた。2005年にBMW、2007年にAudi、2008年にVolkswagenが採用した。こう書くと「さすがドイツはやるもんだ」と受け取られかねないが、実は日本発の技術である。RP東プラというメーカーが開発し、ドイツの成形品メーカーに技術供与していた。
やっと日本に逆上陸したのが2009年。ヤマハ発動機が2輪車「YZF-R1」に採用した。これは技術供与でなく、RP東プラが直接納めた。そのためもあって、同社は情報をじわじわと明らかにし始めた。5月17日に開くセミナーにお招きして話をしていただくことになった。詳しく知りたい方はそこに参加していただければよいが、かいつまんで書いておこう。
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配管類はプラスチック化の難しい分野だった。短い管なら方法はある。薄い管も方法はある。ところが長い管、しかも曲がりくねった管をプラスチックで造る方法がなかった。
近い方法はあった。プラスチックを射出成形すると、外側は金型に冷やされて"皮"になり、中の"アンコ"は柔らかいままになる瞬間がある。この瞬間を狙い、空気や水で中のアンコを吹き飛ばしてしまうという豪快な造り方である。
このやり方は、豪快なだけにあまり普及しなかった。内径の精度が出ないし、内面の肌も荒れる。目的は水を通すことだから、内径が保証できて、しかも抵抗が小さくなるように滑らかになっていることが望ましい。
弾丸を撃ち込むやり方なら、弾丸の直径が製品の穴の径になるし、弾丸で撫でていくので、表面も滑らかだ。
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弾丸といっても、鉛の弾丸ではないし、火薬で飛ばすわけでもない。普通はプラスチックの弾丸を空圧で飛ばす。これなら銃刀法違反にならない。お勧めは製品と同じ材質の弾丸を同じ金型で成形し、その場ですぐに使うことだ。
エンジンとラジエータをつなぐ管は、普通に鋼で造るとヤマハの2輪車の場合で400gの部品である。プラスチックにして軽くすると165g。こんな苦労をしても235g軽くなるだけである。その235gがうれしいほど、クルマを軽くするニーズが強まっているということだろう。また、フランジ、ブラケットなど、鋼製では別の部品を取り付けていたものを一体で造り込むことができるため、意外なことに安くできる。最近、「低価格化/軽量化技術2011」という別冊を作った。続編のネタはまだまだありそうだ。
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