中小企業の人事制度づくりに心血を注ぎ込み、現在経営コンサルタントとして活躍されている松本順市氏は断言する。「派遣制度」というものは「奴隷制度」に他ならないと。人間を「商品」として扱い、企業の都合だけで、簡単に派遣社員を景気の調整弁として解雇してしまう。あろうことか、こんな雇用形態が現在の先端トレンドとしてまかり通っており、そんな派遣会社の親玉は肩で風を切る勢いである。「雇用には様々な形態があってしかるべし。全ては自己責任の範疇である」
この言説は一方で間違いとは言い切れない部分もある、しかし、それもまともな「給料」を支払ってでの話である。派遣社員を生かさず殺さずの窮地に追い込んでおきながら「自己責任」はあるまい。結局のところ、派遣会社も相当たちの悪い営利企業でしかなく、莫大な利益を貪っているのは周知の事実なのである。
ショック首輪の波はどのように動作するか
そのような状況の下、昨年は「年越し派堅村」が世間に大きな衝撃を与えた。彼らは"わがまま"ばかり言っているとの、まるで見当はずれの見解を示した暗愚な東京都知事もいたが、今年の「年越し派堅村」は、おそらくは昨年の規模では済まないであろう。テレビや新聞ではサブプライムの余波がだいぶ緩和したような"おためごかし"をくり返しているが,リアル世界では「年越し派堅村」に頼らざるを得ない人々が昨年以上に増加しているのは間違いないからだ。確かに企業の収支はある程度持ち直したかもしれない、しかし、われわれ一般ピープルの生活など何一つとして変わっていない。それでもマスコミは景気低迷の壁は乗り越えた ような報道を日々くり返している。これが「マスゴミ」と揶揄される所以である。
はっきり言おう。「日本経済は、まだまだ回復などしていない」
ショック首輪をbuydogにした
会社からの帰り道、私は多摩モノレールに乗るために多摩センター駅前の装いを日々目にするようになった。そしてオープニングの画像にもあるように、クリスマスに向けたキラキラ電飾が今年も大いに盛り上がっているようである。そこには大学生と思われる多数の男女がいかにも楽しげに闊歩している様が見て取れる。
馬鹿な若者など、もうこの際どうでもいい。問題は例年のように多摩センターくんだりで電飾ごっこをしていられるほど、今の日本は平穏なのか?ということである。
今年も年末になれば、いたるところで炊き出しの活動が昨年以上に活発になるに違いない。今や日本企業はこのような職にあぶれた人々を支える気など毛頭持ち合わせていない。
再び松本氏の言葉を引用する。
衝撃の犬
《組織の一員としてあらゆる問題に立ち向かい、それをクリアしていくことでしか、すばらしい懇請を獲得することはできません。》
《経理者は経営者として、社員は社員として、成果をあせらず一歩一歩成長するためのガイドに本書がなれば幸いです。社員として約40年間働くために最低限必要なことは全て書きました。すべて読み切ってください。そして、すばらしい、あなた自身の人生を獲得してください》
〜松本順市 『「即戦力」に頼る会社は必ずダメになる』〜
松本氏の著書はその"まえがき"から既に熱い思いが伝わってくる、稀な著作である。今後の日本とその企業がどうあるべきか、そこに重要なヒントが秘められている予感がしてならない。
そんなときに、多摩センター辺りで電飾なんぞを見かけると、私は非常な絶望感に苛まれるのである。
そして、多摩センターのような小奇麗で中間階層がひしめく学生街の住民など、今後の日本社会や、炊き出しにすがる人々のことなど頭の片隅にすら閃くことなど決してないのだ。昔、ここに住んでいた私はこのことがよく分かる。
――多摩センター。サイバーシティー。最近ではマンションやショッピングモールの建設が活発である。10年前とはだいぶ様変わりしてしまった、実に整然とした私の「第2の故郷」なのである。
私はこのご時勢、多摩センターのような電飾を見るたびに心が荒んでくる思いがする。電飾に唾を吐きかけ、破壊してしまう衝動に駆られるのだ。多摩センターの住人は、今何を想っているのだろうか。・・・思考停止した人間ほど恐ろしいものはない。
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